「結論ありき」「利権まみれにうんざり」/「ライドシェア」解禁めぐり市民集会
一般のドライバーが自家用車で客を運送する「ライドシェア」について考える市民集会が1月16日、神奈川県横浜市内で開かれました。労働組合や弁護士、タクシー会社の関係者らが参加し、政府が「ライドシェア」解禁に舵を切ったことに対し「結論ありきの議論だ」「自民党の利権まみれの政治にうんざり」など怒りの声が上がりました。主催は、交通の安全と労働を考える市民会議。
「ライドシェア」をめぐっては、岸田首相が10月23日の所信表明演説でタクシー運転手不足などを理由に検討を表明していました。それを受けて、内閣官房のデジタル行財政改革会議が12月20日に中間とりまとめを決定しました。
とりまとめによると現在、公共の福祉を確保するためやむを得ない場合に自家用車かつ有償による過疎地でのスクールバスや訪問介護の送迎などが道路運送法で認められており、認定講習を受けた一般ドライバーの運転も行われています。まずはその制度を活用し、地域・時期・時間帯を特定したうえでアプリによる配車・運賃支払いを可能とする「ライドシェア」制度を4月からスタートするとしています。同時にタクシー事業者以外が行う「ライドシェア」について法制度の議論を進める方針を打ち出しました。
全自交労連の津田光太郎書記次長は「たった2カ月議論しただけで解禁表明。タクシーがどこでどう足りないのか、ライドシェアが海外でどうなっているのかデータもないままの議論で結論ありきだ」と批判。市民会議の戸崎肇代表世話人(桜美林大学教授)は、安全性とサービスの維持にコストをかけるタクシー事業と、一般ドライバーでの「ライドシェア」の両立は不可能だとしたうえで、「公共交通体系をどう再生させるのか、これまでの動きを無視するもの。すべて(ライドシェアに新規参入するための)ビジネスの観点での議論になっている」と懸念を示しました。

